契約・派遣社員はテレワークできないのか
最近このような記事を見かけます。新型コロナウイルスの影響によって、テレワークの導入という需要が高まっているからでしょうか。
- 契約社員なのでテレワークをさせてもらえない。
- 派遣社員なのでテレワークをさせてもらえない
- 若手社員なのでテレワークをさせてもらえない
多くの企業や人々が新型コロナウイルス感染拡大防止のために、頑張ってできることから取り組もうとしてくれている証拠でもあると思います。
しかし本当に契約社員や派遣社員、若手社員はテレワークをさせてもらえないのでしょう。
今回は誰にも配慮せずに企業の目線で契約社員や派遣社員、そして若手社員のテレワークについて書いてみたいと思います。
気を悪くする方もいらっしゃるかも知れませんが、私の経験から隠すことなくお話したいと思います。
制度の壁
まずは制度の壁についてです。私が実際に働いたり、仕事などでお世話になってきた企業は複数ありますが、テレワークの制度がある企業の数がそもそも少ないように感じています。
また、テレワークの制度があっても多くの制限がある場合があります。例えば
- 育成期間◯年を過ぎた社員
- 育児が必要な社員
- 扶養のある社員
- 週に1日のみ可能
- 真に必要な場合
これらが実際に見聞きしたことあるものです。最後の「真に必要な場合」は驚きました。曖昧過ぎて、寛容なのか厳格なのか、よく分かりません。
また残念なことにテレワークの対象を正社員に限っている制度を持つ会社も多いのも確かです。
このように社員(契約や派遣を含む)に対してテレワークを実施させるために、制度の方から見直さなければならないという企業は多いです。
私の感覚ですが、大きな企業ほどそういった障壁があるように思います。大企業において制度は法律のようなものですから、1人2人の権力者の一声では変えられないのです。
一方で私の知人は20名ほどの会社に勤めていますが、上司の一声でテレワークが可能になりました。
テレワークの制度があるのとないのと、どちらが良いのでしょうか。企業の規模にもよると思いますが、ケースバイケースということでしょうか。
導入費用の壁
次に導入費用の壁です。企業によってテレワークの方法は様々ですが、その方法によって色々と費用がかかります。例えば、
- ノートPC購入費用。
- セキュリティソフト導入費用。
- リモートデスクトップ環境構築費用。
- DaaS(Desktop as a Service)の契約費用。
- テレワーク実施者の通信費用。
- 社用携帯の準備。
これらは一例であり、企業とその制度によって異なりますが、テレワークを導入するというのはそれなりにお金がかかるのです。
とある大企業では新型コロナウイルス感染拡大防止のため国からお達しがきて、費用無視でテレワーク対象者を拡大していました。
一方で違う企業では、費用が理由で対象者を限定して、決まった人数までを許可する形をとっていました。
こういった要因が、前述の制度の壁と相まって、正社員が優先されるという事例は多々あります。
人への費用の壁
少々辛いことですが、多くの企業は正社員と契約または派遣社員を明確に分類しています。もちろん企業によって異なりますが、いわゆる日本風な終身雇用に近い形で社員を雇っている企業は当てはまります。
正社員は基本的に長期で働き、その企業に将来的に貢献することを目的に雇われています。つまり企業が組み込む人件費の中には社員の教育費や離職防止の諸制度(福利厚生やテレワークなどの働き方の選択肢)の費用も含めています。
一方で、残念ながら、職域を限って採用される契約社員や派遣社員には、そういった費用を組み込んでいません。正社員登用前提の契約社員ならまだしも、言い方は悪いですが、特定の仕事をするために雇われているため、テレワーク等に充てるために用意された費用がそもそもないのです。
また、人への投資という観点からも、企業は一定期間後に企業を離れていく契約社員や派遣社員よりも、半永久的に在籍してくれる可能性のある正社員を優先して投資しようと考えます。