Wireless Controller(WLC)の種類

私のキャリアの前半は無線とは無縁だったのですが、最近調達から構築まで幅広く対応するようになってきました。無線通信にはアクセスポイント(AP)が必須ですが、APにはワイヤレスコントローラ(Wireless Controller:WLC)が必要です。そこで今回はWLCの種類について書こうと思います。
※ちなみに当記事のキャッチ画像はBingのImage Creatorを使ってみました。シンプルに「Wireless Access Point」とだけ打って生成してできた画像です。天井にルンバ(ロボット掃除機)がついているみたいですね…
組み込み式
Ciscoでは型番にEWCとついていたりします。例えばC9105AXI-EWCのようにです。HPのArubaではIAP(Instant AP)等と表記されています。
組み込みですので、APを買うと、そのAPのみで動作します。モデルによっては複数のAPと連携してWLC機能を冗長化することもできます。口述するオンプレミスやクラウドとは違い、AP自体で実施するので対応できる台数等は少なく、大量のAPを管理するような場合には後述するオンプレミスやクラウドを選択することになります。
なお、CiscoのC9105-EWCといった「EWC(Embedded Wireless Controller)」ですが、2024年11月でEoS(End of Sales)となっており、CiscoやCiscoから購入を仲介する業者からは購入できなくなりました。サプライヤに在庫が残っていたり中古品であれば調達できるかも知れません。
オンプレミス
こちらはわかりやすくオンプレミスに機器を置くもので、CiscoだとC9800があります。WLCのスペックによって台数は変わりますが、上述の組み込みよりはかなりの台数を制御することが可能です。
一般的にはひとつの拠点のために調達するというよりは、複数拠点の無線を一括管理・制御するような用途に向いています。私の担当した某お客さんは日本中に100以上ある拠点の無線を、とあるデータセンタに設置したWLCで行っていました。また、違うお客さんはアメリカのデータセンタにあるWLCから北米(カナダ、アメリカ、メキシコ)の無線を管理・制御しています。
クラウド
こちらもクラウドの概念が分かっていれば非常にシンプルです。CiscoだとMerakiシリーズ、HPのArubaだとAruba Centralがあります。
構築方法を説明すると分かりやすく、購入したAPにDHCPでIPを割り当てインターネットに接続させます。クラウド側(Webブラウザで操作)でAPのシリアル等の購入情報を入れると検知して、そこから設定が可能になります。
まだまだクラウドに抵抗のある企業は多いですが、そこがクリアできて、インターネットにそういった用途でアクセスできる環境であれば非常にシンプルな構成となります。
結局どれが良い?
小規模で単一拠点なら組み込みまたはクラウドのWLCが良いと思います。構成がシンプルで且つ安価に構築できます。
大規模拠点もしくは多数拠点の場合はオンプレミスかクラウドが適していると思います。オンプレミスは一時金が多額でライセンス料もかかります。クラウドも使用料などがかかります。このお金の部分は企業によって考え方が違うと思います。
構築を外部委託しようとした際、単純な工数(構築にかかる時間数)で言うと、クラウドの方が早く、時給換算なので安くなる傾向があります。物理的にWLCを設置するとなると、そのための検討や、交通費、拘束費、さらに安全のため2人がかり・・・となっていくと、Laborだけでもそれなりの金額になります。