BCP(事業継続計画)ならぬPCP(プロジェクト継続計画)を考える。
新型コロナウイルスの影響で、企業の存続に影響が出ている人もいると思います。また、同様にプロジェクトの存続にも影響が出ている人もいるのではないでしょうか。
企業の存続に対するBCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)については多くの情報はインターネットで見つけることができます。
そこで今回はBCPならぬPCP(Project Continuity Plan)という目線でお話をしたいと思います。
そもそもBCPとは何か
簡単なおさらいですが、そもそもBCPとはなんでしょうか。
BCPとは事業継続計画とも呼ばれ、万が一の際にも事業を続けていけるように計画しておくということです。日本は特に台風や地震といった災害が多いですが、そういった災害がいざ起こった時にどうするかを計画します。
具体的な例としては、地震によって東京の本社の役割が機能しなくなった時は大阪の視点でその役割を引き継ごうと決め、そのための手順や方法などを予め決めておきます。
BCPが定まっていないと、災害が起こった際に一発で廃業するということも考えられます。事業の100%は継続できなくても、企業の存続のために必要な機能は維持する必要があります。
PCPという考え方
PCP(Project Continuity Plan)とは、実は私が勝手に読んでいる言葉です。BCPは企業の経営者等が事業の優先度や影響度を踏まえて、企業全体としての方針や計画を立てます。
しかしながら、多くの人は日々の業務や参加しているプロジェクトをどうするのか考えることの方が多いと思います。もちろん大前提は企業の定めるBCPですが、仕事単位、業務単位、プロジェクト単位でもBCPのような考え方で準備しておいた方が良いのではないかというお話です。
プロジェクトマネジメントの勉強をすると必ずといって良いほどでてきますが、不測の事態を想定して準備しておくことが大切です。プロジェクトに欠員が出たり、とある事情によって一部の工程が進まなかったり、そういったことを事前に想定して、どう対応するか定めておくことが良いとされています。
プロジェクト継続計画の立て方
プロジェクトに対して継続計画を立てる方法は、プロジェクトの特性や制限によって大きく変わります。
そこで今回の記事では、どういったアプローチがあるのかを紹介したいと思います。
基本的にはマトリックスで考えていくと良いと思います。例えば、Aシステムの利用可否状況を3通りくらい(0-50%、51-90%、91-100%等)定め、プロジェクトメンバの対応可否も3通りくらい(10人中10人可、5人以上可、5人未満可等)定めれば、3×3で9通り考えられます。
実際には3通りではないかも知れませんが、プロジェクトの特性、リソース(システムやメンバー)の特性などを踏まえて、複数の切り口に対して、根拠のある数字をもって定めていきます。
メンバという切り口
ひとつの切り口としてはプロジェクトメンバの参加可否です。例えば10人のチームがあったとして、なんらかの理由(災害被害や感染症等)によって、何人の人がそのプロジェクトに参加し続けられるかです。10人が同じ業務をしている時に5人が参加不可能であれば、単純にそのチームの生産性は50%になります。
他にも、地理的に一緒に参加できなくてもテレワークで対応できる可能性もあります。その場合は、当然ながら、テレワークによる影響を考え、生産性を計算するのが良いでしょう。
地理という切り口
プロジェクトによっては複数の拠点で進めることがあると思います。その場合に、もしA拠点で災害があったらどうするか、もしB拠点の機能が半分失われたら、という風に考えます。
一つの例として、A拠点でA業務、B拠点でB業務をやっているプロジェクトがあったとします。この場合A拠点が被災するとA業務は全くできなくなってしまうので、B拠点でもA業務ができるようにマニュアルを作成しておく、A拠点でB業務を、B拠点でA業務をそれぞれ対応できるようにしておく等があります。
やり取りの相手という切り口
私が以前参加していたプロジェクトではマレーシアやミャンマー、インドネシアなどとのやり取りがありました。
2020年初頭の新型コロナウイルスの影響を考えると、日本も海外もあまり変わらないのですが、「どちらの国がどうなったらこうする」というのも定めておくと良いでしょう。
他にも、重要度にや売上に応じて重要顧客を位置づけておいたりするのも1つの方法です。
【重要】コミュニケーション手段を定めておく
プロジェクトや業務に対する継続計画はもちろん大切ですが、予めプロジェクトメンバとコミュニケーションの方法を定めておくことが大切です。
方法としては緊急連絡網が有名ですが、電話に限らずとも、「どんな時に」「誰が」「どうやって」伝達するかは決めておくべきです。