PMBOKのスケジュール管理とは何か噛み砕いて説明する
PMBOKのスケジュール管理ではプロジェクト推進のための時間を管理していきます。
実際の業務でも「スケジュール管理をしっかりしなさい」とか「あの人はスケジュール管理がうまい」などと言ったりするのではないでしょうか。PMBOKにおいては、プロジェクトの定められた期間の中で時間を管理し、期間内にプロジェクトを無事完了させることを目指します。
主なプロセス
PMBOKの10ある知識エリアの1つであるスケジュール管理では、主に下記のプロセスから成り立っています。
- アクティビティの定義(Define Activities)
- アクティビティ順序の設定(Sequence Activities)
- アクティビティ資源の見積もり(Estimate Resources)
- アクティビティ所要期間の見積もり(Estimate Activity Durations)
- スケジュールの作成(Develop Project Schedule)
- スケジュールのコントロール(Control Project Schedule)
スケジュール管理ではこれらのプロセスを行うことで、プロジェクトを期間内に終えるよう努めます。
スケジュール管理の流れ
まずはアクティビティの定義を行います。アクティビティとはWBS(Work Breakdown Structure)で使われる用語で、所要時間が明らかになるレベルまで細分化した作業のまとまりです。WBSの用語を用いると、ワークパッケージをさらに細分化したものとなります。
ちなみにワークパッケージをアクティビティに細分化する方法には主に2つあり、要素分解とローリングウェーブ計画法です。要素分解では各ワークパッケージを全体的に細分化していきます。ローリングウェーブ計画法では、ワークパッケージを細分化する点は変わりませんが、直近のものをより詳しく、後のことは詳細が不明のため後回しにするという特徴があります。
次にアクティビティの順序を決めます。各アクティビティの先行アクティビティや依存関係を洗い出し、実施可能な順序でプロジェクトを進行できるようにします。
プロジェクトの順序が決まればアクティビティの資源の見積もりを行います。資源とは要員や機器などが含まれます。例えばAチームとBチームが同じ開発環境を使って開発をするとした場合に、片方ずつ実施する必要があるのか、同時使用が可能なのかなども考えます。
そしてアクティビティの所要時間の見積もりを行います。既に検討したアクティビティの順序や資源を考慮して、どれくらいの期間を要するのか見積もります。所要期間の見積もり方法は多く存在していますが、今回は割愛します。
これまでの検討事項を踏まえてプロジェクトのスケジュールを作成します。
スケジュールが作成されれば、後はその通りに実施し、適宜確認し、必要に応じて是正するなどして、スケジュールのコントロールを行います。
スケジュールの短縮手法
スケジュールの短縮には主にクラッシングとファストトラッキングがあります。
クラッシングとは資源を投下することでスケジュール短縮を図ります。例えば、要員を追加投入したり、開発支援ツールを購入して使用したりします。
ファストトラッキングはアクティビティを先行して進めることでスケジュールの短縮を図ります。本来はアクティビティAの完了をもってアクティビティBに進むところを、アクティビティAが70%ほど終わったところで、アクティビティBを始める、といった具合です。しかし、手戻りが発生した時の影響が大きいというリスクもあります。
まとめ
PMBOKのように形式的に学ぶとプロセスの数も多く、理解しにくいかも知れません。
しかし、噛み砕いて考えてみると、実際の業務の中で自然にやっていることが多くあります。
このスケジュール管理というのは結局のところ、すべきことを考えて、その順番を考えて、必要なものが何か考えて、人や物を調整して、時間を見積もって、スケジュールに落とし込んで、そのスケジュールに沿って進めていき、必要なら修正したり働きかけをしたりする、ということです。