PMBOKの統合管理とは何か噛み砕いて説明する
統合管理とは、その名の通りプロジェクトマネジメントの中心となって、他の知識エリアやプロセスのを相互にまとめるために行うマネジメントです。
PMBOKにはスケジュール管理やコスト管理がありますが、どちらか一方だけに集中して取り組んでもプロジェクト全体としてはうまく進めることができません。そこで、統合管理では作業の指揮や管理、監視や調整などを行います。
統合管理におけるプロセス
統合管理では他の知識エリアやプロセスの連携のため、主に6つのプロセスが定義されています。
- プロジェクト憲章の作成(Develop Project Charter)
- プロジェクトマネジメント計画書の作成(Develop Project Management Plan)
- プロジェクト作業の指揮とマネジメント(Direct and Manage Project Work)
- プロジェクト作業の監視とコントロール(Monitor and Control Project Work)
- 統合変更管理(Perform Integrated Change Control)
- プロジェクトやフェーズの終結(Close Project or Phase)
これらのプロセスを行うことで連携を図り、プロジェクト全体の成功を目指します。なお、プロジェクトのナレッジ管理も1つのプロセスとして含める場合があります。
統合管理の開始
情報処理推進機構のプロジェクトマネージャ試験の午前2の問題でも頻出しますが、統合管理の開始、すなわちプロジェクトの開始のタイミングについてです。
プロジェクトが検討され、プロジェクトマネージャが任命されると、プロジェクトマネージャはプロジェクト憲章の作成を始めます。プロジェクト憲章には顧客のビジネスニーズを満たすために、顧客からのヒヤリングや企画内容、契約書を基にして、プロジェクトを正式に立ち上げる承認を得ます。
承認には関係部署や権限のある役職など、プロジェクトによって異なりますが、必要な人から承認を受けます。
プロジェクト憲章には何を書くのか
すごく簡単に言うと、プロジェクトを正式に立ち上げるための承認を得るために必要な情報を記載します。
基本的な記載内容としては、プロジェクトの目的や妥当性、目標や成功の基準、方針、リスク、スケジュール、予算等を含みます。
繰り返しになりますが、このように承認者が承認するにあたって必要な情報を盛り込む必要があります。
プロジェクト立ち上げ後
プロジェクト憲章が承認され、無事プロジェクトが立ち上がれば、次にやることは計画を立てることです。
計画は簡単に立てられると良いのですが、要員やコストの課題、リスクに対する準備など、考慮すべきことは多岐に渡ります。そのため、統合管理におけるプロジェクト計画書の作成では、他の知識エリアで作成される各種計画書を補助資料として扱います。
計画書が完成すればあとは計画通りにプロジェクトを実行するのみです。プロジェクトを進行させるために作業の指揮とその管理を行い、その作業がしっかりと進んでいるか監視をします。進捗が良くない場合は問題を取り除くといったコントロールも行います。
変更事項が生じればそれをしっかりと関係者に伝えて承認を得て、必要な文書に反映させます。この統合変更管理は変更管理とコンフィギュレーションコントロールに分別されます。変更管理はプロジェクトの文書やベースラインが対象であるのに対して、コンフィギュレーションコントロールでは成果物やプロセスの成果物を対象としています。このように、変更管理はプロジェクト領域、コンフィギュレーションコントロールはプロダクト領域とも分類できますが、重複する部分もあるため、統合変更管理として管理します。
まとめ
統合管理はとても範囲が広く、難しそうに聞こえますが、すごく簡単に言ってしまうと、全知識エリアをまとめたものです。他の知識エリアについて順調に進行させるために、全体的にこんなことを管理しましょうということです。
そして、最後にプロジェクトが無事成功に終わった時は、その終結をします。
他の分野と調整してうまく回していくと考えれば、普段の業務で少なからず行っているのではないでしょうか。それを専門的にプロジェクトマネジメントの知識としてまとめたのが、この統合管理です。